うぷぷのつぶ焼き

雑多記事です。なるべく長ーく手が届く範囲のテーマに経験したこと・感じたことを書いていきます。

【2020年・秋】京都・愛知の刀剣巡り(+α) ~前編~

f:id:upupupu0:20201110133052p:plain


かつて日本人は、刀剣を武家同士の交渉時の貢物や献上品として用い、武器としてだけでなく、貴重な絵巻物や道具類といった美術品と同列に扱っていた。

武器としての実用性・美術品としての芸術性、この相反する2つ魅力を持つ、唯一と言ってもいい物が刀剣である。

 

NHKBSプレミアム「英雄たちの選択~日本史を斬る!刀剣スペシャル~」再放送の視聴をきっかけに、私は今、刀剣に対して強い興味を持ち始めている。刀剣マイブームの発端はオンラインゲーム・刀剣乱舞であったが、この番組のおかげでゲームキャラクターへの興味だけでなく、刀そのものにも関心を持つことが出来たのだ。

 

というわけで、刀剣ブーム真っ只中に陥った私は、以前から計画していた京都一人旅の内容を刀剣巡りに切り替えることにした。

本記事では、刀剣巡りが今回の旅のテーマだが、他にも訪れた場所についても触れ、旅の思い出を振り返ろうと思う。

 

初日:三千院粟田神社

親の車に相乗りさせてもらうことができたので、せっかくだからと京都市外に足を延ばすことにした。京都は、国内旅行で最も訪れた場所だったが、京都市から出ることは無かったのでこれは良い機会だった。

向かった先、大原にある三千院で、平安時代に建立された建物内と庭園を散策できる。この日はあいにくの雨だったが、客殿で座敷に座り、雨音を聞きながら庭園を眺めるのは乙な経験だった。

大原を訪れたついでに、近所の鞍馬・貴船にも立ち寄ろうとしたが、帰りの足である叡山電車が土砂崩れのために運航していなかったのと、雨が激しく降っていたので断念。別日に再度立ち寄ることにした。 

さて、鞍馬寺訪問を断念したので、銀閣寺前で車を降り、ここから一人旅・刀剣巡りに入った。

銀閣寺には入らず、哲学の道を通って、最寄りの刀剣縁の神社へ向かう。

だいたい1時間、雨の中を歩き通して訪れたのは粟田神社

あの三条小鍛治宗近が鍛刀の際に相槌を打ったお稲荷様がここ粟田神社内にある御祭神だと伝えられている。(この時鍛刀されたのが小狐丸らしい。)

平安・鎌倉時代武家の台頭と共に刀剣の需要が高まった時代。現在の刀剣ブームで聞きなれた三条宗近、流派の粟田口派や来派は当時の京都で主だった刀鍛冶たちだ。

粟田神社東山区粟田口鍛冶町に位置している。刀鍛冶の名がこうして地名に表れていると、時代が違っても名残を感じずにはいられない。(要は、名を見ただけでもニヤニヤする。)

f:id:upupupu0:20201110134323j:plain

粟田神社は、大通りから離れた住宅地の中にドンと置かれた立派な鳥居が目印だ。緩やかな坂道を登りきると、右手に社務所、正面に無料で入れる宝物殿(中に刀剣あり)とお稲荷さん、左手奥に神社が見える。

平日の雨の中だったが、数人の若い女性が訪れていた。おそらく私と同類か。

神社横には絵馬が飾られていた。予想した通り、刀剣乱舞のキャラの絵が描かれており、また、社務所ではキャラの名前で書かれた御朱印が貰えるようになっていた。刀剣乱舞のキャラと縁のあるいくつかの神社で、この御朱印サービスが行われているらしい。

ゲームという、信仰とはかなり対照的なフィールドからやってきた人に対してもこうした喜ばれるサービスをしてくれることに、日本の神社仏閣の度量の大きさを感じることが出来た。

 

2日目:大覚寺北野天満宮建勲神社

京都市は、非常に観光しやすい土地だ。市内だけでも何日も過ごせることができる。これに近い観光地が集中した地は、私の体験では他にはパリくらいしか思いつかない。

昨日は東山方面を散策したので、今日は嵯峨方面の3つの刀剣縁の地を訪れることにした。

この日は祝日だったので混雑は免れない。早めに向かおうと朝8時ごろにホテルがある五条から嵐山方面へバスで向かった。

天気は一変して快晴だった。ついでと思って嵐山駅前でいったん下車し、少し葉が色づき始めた嵐山を眺めながらさっと渡月橋を往復した後、大覚寺行きのバスに再び乗り込んだ。

f:id:upupupu0:20201110134444j:plain

 

大覚寺ではちょうど「『薄緑(膝丸)』結縁プロジェクト完成披露展」が催されていた。

結縁プロジェクトとは、簡単に説明すると、重要文化財である太刀・膝丸が収められた刀箱と鞘を勧進の元で新調・修復するというもの。

今年9月にそのプロジェクトが完了したので、この秋に期間限定のお披露目展示を行うといった経緯だ。

開館時刻の9時過ぎは、まだほとんど人は来ていない。大覚寺内の入場と名宝展、それと日本最古の庭池である大沢池を周る3つの券を購入した。

大覚寺は、複数の殿が鴬張りの廊下で繋がれている。温かい日差しが照らされた廊下を歩いて、静かで居心地の良い雰囲気を味わった。

境内を歩いた先の霊宝館で、この旅で最初の、刀剣乱舞に登場する刀を見ることができた。

太刀というのは、刀と違って反りが激しいのが特徴で、その反り具合を鑑定時の価値基準の1つとして見られていたというのだが、確かに、すうと弧を引いた姿はとても美しい。

鎌倉時代に鍛刀されてから、優に800年近く経とうとしているのに、その古さを感じるのは難しいくらいきれいで、これが殺人の道具であることを忘れそうである。(時代を感じさせるのは唯一、茎だけだ。)

膝丸の刀身の傍に、シンプルな形状の刀を収める白鞘があり、背後のショーケースの中に、刀箱が展示されていた。刀箱の内側に今回のプロジェクトで寄付した方々の名が記されていて、全て女性かと驚かされるくらいそこには女性の名が並んでいた。あのゲームの影響力の強さを感じさせられたが、動機はどうあれ、歴史や文化の品々がこうして守られている様を見るのはとても嬉しく思えた。

 

大覚寺を出て、バスに乗り北野天満宮へ向かった。ところがお目当ての宝物殿特別展は、祝日である今日は事前申し込みが必要らしい。残念。まだ2日残っているので翌日訪れよう。

 

北野天満宮から歩いて20分ほど、住宅街に突如として現れる急こう配の坂道を上った先、船岡山の山頂にあるのは建勲神社だ。

織田信長公を御祭神として祀っており、それが由縁で信長が所持していた刀剣・薬研藤四郎と宗三左文字御朱印が貰える場所である。以前、薬研藤四郎が展示されたことがあったと聞いたが、現在は行われていない。

それでも、刀剣の名がそこにあれば行かざるを得ないのがファンというものだ。

 

f:id:upupupu0:20201110134823j:plain

御飯事情

旅行の楽しみの1つは現地での食事だ。

例え、チェーン店やコンビニ食であっても、普段とは違う場所で食べれば、それは思い出になる。

初日:朝食

愛知から京都へ向かう途中で寄ったPA(場所は忘れた)で朝食を取った。平日の朝6時ごろだったので、人は少ない。

施設内のお土産屋内で販売されていたサンドイッチとコーヒーを頂いた。

初日:昼食

鞍馬寺近くの和食店でニシンそばを注文。

ニシンそばは、漫画・ゴールデンカムイで杉本が第七師団の二階堂兄弟に突撃される前に食べていたやつだ。この京都で食べられるとは思わなかった。

何でも、京都も北海道同様、ニシンそばは有名らしい。明治時代、山に囲まれた京都でも海産物をおいしく食べられるということで甘露煮ニシンを使った料理が発展したのだという。

クチの中でほろほろとくずれるこのニシンの甘露煮、ババアの言うとおり絶品だな。

ー杉本佐一のセリフー

この杉本の感想の通り、ニシンの身がほろほろで味濃く、美味だった。ヒンナヒンナ。

 

初日:夕食

素泊まりのホテルだったので、自身で食事を調達する必要があった。

部屋でリラックスして過ごそうと思い、傍のコンビニで、キーマカレー、サラダ、パック容器の赤ワインと、数日間の朝食用にグラノーラと中サイズの牛乳を購入。

その日の旅を終えて、部屋でゆっくりワインを飲み、リラックスするのは何とも快適で楽しいことである。

 

2日目:朝食

昨晩買ってきたグラノーラに、冷蔵庫に入れていた牛乳を加えて頂いた。朝食シリアルは習慣だ。グラノーラはいつも食べているオーツのシリアルよりカロリーが高い。まあ、旅の間だけだ。どうせ歩くから消費できる。

2日目:夕食

この日は祝日のため、どこに行っても人で溢れかえっていたので、さっさと今日の目的を果たして帰ろうと昼食抜きで行動した。

この日摂った早めの夕飯は、唐揚げ定食屋で注文したチキン南蛮弁当と、コンビニで買ってきたバナナ、インスタントの野菜みそ汁、そしてパック容器の赤ワイン。前日同様、リラックスでワインを嗜みながら、米大統領選の行方を見守った。

 

中編へ続く。